屋久島が周回出来る道が出来たのは何時か知らない。少なくても50年前には島の西海岸に道路は無かった。今回、屋久島に来た楽しみの一つは自転車で屋久島を周回することだった。

島の西海岸に拓かれた道は西部林道である。屋久島の周囲を走っている道は県道78だが、この部分だけは《林道》と規定されている。つまり、県道としての規格で道路を開削出来ないほど険しい地形を予想させた。
テント村くすくすに泊まっていた若者は1周、約100㎞を6時間で回してきた。70歳になって、いまさら若者パワーを羨望してもしょうがないし、こちらには時間はたっぷり有るという強みも有るので1泊2日で回ることにした。


くすくすから屋久島を時計回りに1/5周、約20㎞を走ると安房(あんぼ)だ。50年前に屋久島に上陸したのは安房港だった。当時の港には切出された屋久杉が山のように積上げられていたが、今は若い杉が漁船の陰に隠れる程度に僅かに積まれただけだった。

当時は安房港まで森林鉄道が通じていて、小杉谷に住んでいる山林従事者の家族も買い物には鉄道を利用していた。人を載せるための有蓋車両を一両繋いでいた。私達もそれに載せてもらった。今は何処を走っていたのか軌道の跡も見つからなかった。安房港に流れ込む川の上流を見ると私達が歩き回った山々が見えた。

屋久島はほぼまん円い島だが、島の北東部に在る宮之浦地区では鯖が良く獲れて、それは首折れ鯖というブランドで取引されている。そして島の南東部の安房ではトビウオが良く獲れるそうだ。
安房で一番人気の食堂淀川の一番人気の刺身定食にもトビウオの一夜干しの焼物が主役のように鎮座していた。正直言って、年寄りにはトビウオだけで十二分だった。
料理の説明をしよう。皿からはみ出したトビウオ。その背中に見えるのがカメノテ、亀の手;正に本物の亀の手を知らなくても、亀の手を思わせる、指先のように数個に割れた先端をこじ開けて中身を食べる。味が判る程の中身は無いが、アッサリした味だった。
島の南端には尾之間(おのあいだ)集落が在る。屋久島の海岸から宮之浦岳まで歩いて登れる最短ルートだ。淀川小屋で会ったフランス人のMarcさんはこの道を歩いたそうだが、鯛之河出会の渡渉は一人では危険を感じたそうだ。「こけたら、このまま太平洋だ」と、思ったそうだ。
この集落には島の南部で只一つのスーパー;Aコープが在る。西部林道には人家はおろか自販機すら無いから食料はここで買おう。

更に西に10㎞弱で平内海中温泉が在る。干潮になった時だけ海の中から現れる。
水着着用禁止ーーーーーだからーーーーー深夜が干潮の時が最高らしい;;;星空も綺麗し。


私が行った時は、潮が引き始めた頃で湯船はまだ冷たく、掛かり湯用の小さな湯だまりだけが生温かい程度だった。北風が吹いて寒かったので入湯はパスした。
海中温泉の横に民宿海中温泉荘が有るが完全予約制だといって断られた。

同じ屋久島でも北部の宮之浦地区とは異なり南部のこの辺りではパパイヤが庭先に成っていた。屋久島では野菜として扱われて炒めものにして食べるらしい。
屋久島では11月はもうオフシーズンなので、民宿やロッジなどは閉めているか休業していることが有るので前もって電話で確認が必要だ。私も海中温泉に近いロッジを予定していたが電話さえも繋がらなくて、慌てて宿探しになった。

次に訪れた湯泊温泉は浜辺の温泉だ。私は宿のことが気がかりで入る気がしなかったが、簾の向こうから数人の話し声がしていた。
ここの売店の奥さんが大変に親切な方で、多方に電話して開いている民宿を見付けて下さった。奥さん、有難うございました。
テーマ : 自転車
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