33日目 10月29日 桜島を走る

道の駅・山川で出会った日本一周の青年は沖縄から帰ったばかりで九州は寒いと盛んにぼやいていた。
私のグレートジャーニーは11年前の第一世代、彼のは最新型のグレートジャーニー。今となっては現役で走り回っている第一世代のグレートジャーニーは珍しいので結構ツーリストに持てた。


高速道路や本四架橋などと競合するフェリーは廃止に追い込まれているが、九州や瀬戸内海では短距離フェリーは健在だ。 薩摩半島の山川港から大隅半島の根占港までフェリーに乗った。

桜島から35㎞も離れた根占にも噴煙は流れてくる。
大隅半島を錦江湾に沿って北上すると桜島の付根の海潟温泉に着く。今回の旅で楽しみにしていた所だ。
50年前の旅では砂浜に簡単な板囲いの露天風呂があった。湯に入りながら桜島の肩に沈む夕陽の茜色に感激した。もう一度、あの情景を見たいと思って再訪したが、あの砂浜は何処だったかさえ分からなかった。50年の時間が私を浦島太郎にしてしまった。


桜島が近づくに従って降る灰の量も多くなって、ついに月光仮面か仮面ライダーか分からないようなスタイルになったが目に入る灰を完全には防げない。半分涙目で、時にはペットボトルの水で目を洗いながら、❝鹿児島には眼科医が多かろうな~❞ と思ったりした。
私のグレートジャーニーの前輪横のバッグが無いのにお気付きだろうか? 10年乗り続けていると 流石のグレートジャーニーもフロントキャリアは両サイド共に全損、ハブダイナモは機能不全。全身の状態はライダーと同じ様に老化の一途です。


桜島を半周する国道224号は溶岩道路といわれる。大正、昭和の大噴火で流れ出た溶岩流を見物できるからだろうが、道路の傍には所々に噴石シェルターが設置されていることからも今なお生きた溶岩と共生している国道だ。

桜島を半周して夕焼けに染まった桜島港に着いた。数隻のフェリーがピストン運転をしているので待たずに乗れる。
フェリーの運賃は、なんと人が150円、自転車100円。尾道の向島に渡るフェリーも同じような料金だ。これらのフェリーは生活の足なんだろう。

鹿児島では前回と同じドルフィンポートの四阿にテントを張った。
翌朝、桜島から昇る朝日は流れる噴煙を浮かび上がらせていた。
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