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北海道-6 幌尻岳2008

自転車で100名山めぐりの最初の年、2004年にも北海道に渡ったが、折り悪く幌尻岳は前年の洪水で林道が寸断されて入山出来なかった。この顛末はブログ「北海道-1 トムラウシ岳」をご覧ください。 

幌尻岳を残したままにして、その後は北海道から東北、関東へと、北から南へ登山を続けた。2004年からの10年間で100座に登るのが大まかな予定だが、2008年までの5年間に60座に登ったので目標をどうにか果たしている。 また、2009年は北アルプス南アルプスにも登りました。

中部~北海道登山地図 


しかし、幌尻岳がもれたままでは何となく落ち着かないので、2008年は幌尻岳を第一の目標にし、続いて羊蹄山に再登し、フェリーで小樽から新潟に渡って頚城山塊、後立山などの14座を目指した。

このページでは2008年の幌尻岳への旅をレポートします。
  

2008年の自転車で100名山の行程図  [2008年の旅行の道筋]


幌尻岳へのアプローチ [2008年9月4日]

 

2008幌尻岳&羊蹄山 

 

 
幌尻岳は日本100名山の中で最も登りにくい山といえるかもしれない。
問題点は幌尻山荘宿泊の確保と額平川の水量の2つだ。


 幌尻山荘は4月に予約を受け付けるが、一両日中にツアー会社が全期間の宿泊を押えてしまうので個人客が予約を取るのは大変に難しい。しかしホームページで公開された予約状況を数年間観察していると次の事に気付いた。

 

9月になると予約がキャンセルされて空席の日が出現するのだ。


自転車旅行では雨天や自転車のトラブルや道路のアップ・ダウン疲労などの条件が大きく響くために、一日の走行距離を決められないので厳密な日程が組みづらい。自転車旅行はどうしても「一日一日が勝負」的なものになるので、宿泊などの予約は自転車旅行ではやりにくい事の一つだ。

また、半年も先に予約を先取りするような旅行は私の趣味に合わないので、あえて予約をキープしなかった。

 

しかし、登山口に近い平取まで順調に来たし、この先の天候も崩れそうにないので山行日程も決められる段階になった。そこで初めて平取町山岳会に予約を入れた。ちょうど週末に当たるので満席を心配したが、キャンセルが出たので宿泊の予約とれた。

 

~~~~ 万一、予約が取れないとどうするか? そこは、時間だけは余裕があるリタイヤ人生の特権を生かして、何日でもキャンプ生活を楽しながら空きが出るのを待つつもりだった。9月にはキャンセルがでるのはわかっていたので余裕で待つ覚悟があった。 ~~~~ 

 


もう一つの問題点川の水量については、7月は融雪、8月は集中豪雨で水嵩が高いと予想して9月を選択した。この2つの推測が功を奏して楽しい山行になった。

 



大阪を8月20日に出て東京に29日着。



ここで自転車の最終整備とタイヤを取り換えて92日に出発し、

霞ケ浦湖畔の公園 東京から大洗までは125km、自動車なら4時間の距離だが、自転車では一日で走るには難しい距離である。まして翌日の乗船に合わせるには17:30までに到着する必要がある。

自動車なら半日も掛からない距離でも、自転車旅行では二日間を要することもよくある事だ。これが、自転車旅行というものである。この夜は土浦の霞ケ浦湖畔に寝て、 

 

大洗で乗船 大洗での乗船は318:30

 


苫小牧で414:00に下船する。


鵡川のバス停で若者と一緒に寝る

太平洋岸を南東に36km走って鵡川(むかわ)のバス停で、九州から陸走してきた大学生と寝る。彼は軽快なクロスバイクに小さなザックとシュラフを括り付けただけの軽装備で、足元はゴムサンダルという出で立ちだった。このような軽装備で旅が続けられる者こそ世界一周も夢ではないのだろう。同じ北海道を走っていても、いくらでも冒険的なツーリングは出来るものだ。彼は夏休み明けの開講日までに宗谷岬まで走りたいと、朝早く出て行った。

 


私は彼を見送って、6:30に出発した。国道237で平取(ぴらとり) を経て幌尻岳を目指す。
道の途中で今日の昼食を買う予定だった。私は4年前にも、この道を走ったことがあるので、10kmほど先の国道沿の二風谷にも食料店が有ったように思っていたので、平取の町中では食料店の場所などを尋ねもしないで、軽い気持ちで町中の旧道を走った。平取町のバイパス沿いにコンビニも見えたが無視した。後からわかったことだが、実質的に、幌尻岳までの間で食料が手に入るのはこのコンビニが最後だった。

 


  平取の街角:ここの食堂でおにぎりを頼んだ 平取から10km先の二風谷(にぶたに)のアイヌ文化博物館前の信号付近に数件の土産店と食堂が在ったが目的の食料店は見つからなかった。急きょ、信号側の食堂でおにぎり弁当を頼んだ。このおにぎりの大きいこと。コンビニのおにぎりの二倍以上はあって食べごたえは十分だった。ここの女主人の気風の良さに引かれて、帰り道ではここのライダーハウスに泊まらせてもらうことになった。

 


ここから5km
(先の荷負(にぶ)の信号)
で道道71に入る。貫気別(ぬきんべつ)の信号を右折れするとトイレが付いた大型のバス停がある。ガラス戸もあるので天候が荒れた時は退避できそうだ。橋を渡って左折れすると牧場と畑作地帯になる。芽生(めむ)は牧場や畑の間に点々と住居が在るような処で街と呼べるものは無いが、小さな社と集会所がある。集会所横の水道で水を頂いた。
荷負の信号が10:30、貫気別11:15、芽生12:30、ここまで5.1㎞、標高差130mにちょうど2時間である。


地形図には、この先に町営牧場とあるが、現地では所々に住居が点在していて、広い牧野のような感覚は無かった。登山の帰り道で聞いた話だが、この付近のスズラン群生地にはヒグマがしばしば現れるそうだ。

 

桂峠との三叉路に在る民家が最後の集落で、ここからは1kmほどの間だけ工事中の二車線直線道路があるが、これを過ぎるとダートの林道になり、先年の大水の復旧工事が随所で行われている。この工事中の林道の土は粘土質で自転車の車輪と泥除けの間に詰まって踏むのが重たいので、時々停車して、木の枝でほじくり出さないと走れないので結構時間をロスする。

 


 

北海道では街中と思える所にも「ヒグマ注意」の看板が立っている程だから、林道でのビバークはヒグマと背中合わせに寝るのに等しい。後刻、幌尻山荘の管理人に聴くと、この林道を自動車で走っているとしばしばヒグマと出くわすそうだ。自転車は走行音がしないからヒグマも人の接近に気付かないので、カーブでの出会いがしらの事故に気を付けるように注意を受けた。下りは自転車の速度が速いので連続して笛を吹きながら走り、特にカーブでは速度を落として笛を力一杯に鳴らして少しの間ようすを見てから曲がるようにした。

 

 

 

林道のゲートに到着 駐車場はガラガラ 駐車場にテントを張る  泥と落ち葉の深い林道だった。芽生から19.8km、標高差285mを走り切って、17:05にゲート脇の駐車場に着いた。芽生から4時間35分かかった。

 

 
ゲート脇の駐車場には30~40台は置けそうだが、週末にも関わらず10台ほどしか停まっていない。余りに閑散として人の気配がしないので、こんな所に寝て、ヒグマが出ないか不安だった。駐車場には簡易トイレが有るが給水の設備は無い。ゲートの右手に浅い溝があって細々とした水が流れている。エキノコックスが心配だが、今夜と翌朝の炊事はこの水を使った。

今日はしんどい一日だった。10時間35分で87.4kmを走り、その内の19.8㎞がダートだった。

 



 


幌尻山荘、幌尻岳へ [967]

”今のゲート” から取水口までは 6.8km。約2時間の距離だ。

暗い中を歩いてヒグマとの鉢合わせが怖いので、ライトの光が届かない所も見渡せる程度の明るさになってからゲートをくぐる。

自転車を置いて出発  出発は5:00。自転車にはカバーを掛けて山行計画書も表示した。


 

旧ゲートを通過 40分で旧ゲートを通過、

 


幌振橋分岐を右へ行く 1時間10分で幌振橋。



昭文社の登山地図(右下の青色)には今のゲートは掲載されていない。昭文社の登山地図の左上隅にあるゲートは旧ゲートである。

今(2008年9月)のゲートと旧ゲートの間は片道35分かかる。取水口と今のゲート間は(私の足で)片道1時間50分である。

合成地図:幌尻ゲート~取水口  

 

1時間40分を歩いた時、私の脇にトラックが停まって「自転車の人か?」と声が掛かった。
自転車で100名山の旅は、ここまで自分の足だけでやって来たので、自動車に乗せてもらうとポリシーが崩れると乗車を渋ったが、「こんな山奥まで自転車で良く頑張ったから、ここからは乗っても良いではないか」と勧められて車に乗せてもらった。
幌尻山荘の管理人さんで取水口まで車を乗り入れるようだ。

 

 

北海道電力の取水口 

 取水口に6:35、鉄柵の横から右岸を10分ほど歩くと

 

最初の徒渉点:少ない水に安堵する 最初の渡渉点に着く。

 





昭文社の登山地図では「徒渉開始地点」は四ノ沢の極めて近くに表記されている。しかし当日のGPSのデータでは、最初の徒渉点は取水口と四ノ沢の距離の1/3ほど、地図上で左岸から沢が流れ込む地点を過ぎた所だった。

 

  沢歩きに備えて足作り 私は自転車旅行なので軽量化を最優先に、5本指靴下に沢草鞋、100均で買ったサポーターでカッパのズボンの裾を押える装備にしたが、管理人さんはピン付きのゴム製地下足袋、地元の登山者は運動靴を履いた人、とび職用のアメゴム底の地下足袋姿など様々である。ただし、アメゴム底は薄いので足裏が痛いということだった。一般的な黒色ゴム底の地下足袋にスパッツ状にコハゼが付いたものは、そのまま登山にも使えるということだった。

 くつろぐツアー登山者  今日は記録的な減水とあってツアー客は記念写真を撮ったりして楽しんでいる。
四ノ沢で会ったツアーのガイド(右から3人目)はフェルト底の沢靴を履いていたが、客は運動靴とアユ釣り用?の指先が二つに割れたフェルト底の足袋の人と半々だった。

ツアー客の沢くつ(写真は拡大できます)。

 

 四ノ滝

四ノ沢に7:16、ここは南北から2本の沢が合流して十字形をしているので高巻き道が無く、ルート最大の難所だ。(この写真は下山日のものです)

 

 

 

 

四ノ滝:ロープ固定用の安全環 壁際に用意されている徒渉用の杖 そのすぐ横の数か所の岩にはリング付きボルトが打ち込まれ、岩壁には渡渉時に身体を支える2mほど角材が数本立てかけてある。これらの備えを見ると、増水時にはどれほど危険な渡渉になるか推測に難くない。

 

 

 

山荘の管理人さんと一緒に歩いた 小屋の管理人さんは今日が交代日だそうで、一緒に遡行することになったのが心強かった。林道を自動車で走っているとヒグマと遭遇する話や増水時の徒渉の話なども聴かせてもらった。

 取水口から四ノ沢間の渡渉は6回、その内の2回が膝上。四ノ沢から小屋の間は渡渉が20回、その内の4回が膝上だった。今回の膝上地点は通常は腰のラインを超えるそうだ。

増水時には四ノ沢より上部の方が川幅が狭い為に、水深も深く、流速も増すことが予想されるので、より困難な沢歩きになるだろう。 取水口から四ノ沢までが40分、 四ノ沢から小屋までが50分だった。

今日のような水量の時は高巻き道を通らずに川の中を遡行できるので早く到着できた。

 



山荘着 8:04、沢からエゾ松の林に一段上がると小屋が見える。

 
林の中に幌尻山荘が見える 私と前後して小屋に到着した地元の若者達は地下足袋のまま登山に出て行ったが、私は登山靴に履き替えて幌尻岳に向かう。

幌尻岳はの登山口 登山口は小屋のすぐ右手で、視界の無い林の中の尾根を登る。

 

「命の水」への表示 数本の白樺の老木が尾根に現れると、小さな広場を左に入ると命の水である。ルートから左に5分歩くと岩壁を清水がしたたっている。

 

カールの稜線沿いに山頂を目指す 10:45カール上の稜線に出ると半円を描く稜線の向こうに幌尻岳山頂が見え、新冠分岐を過ぎるとすぐに山頂である。

 


幌尻岳の三角点  幌尻岳 全く無人の山頂に到着。12:20

ガスの晴れ間から、戸鳶別岳(とったべつたけ)方向の尾根を歩いている若者達と東カールが見える。

山荘帰着15:20

小屋の定員は45人、一階は13~4人で他の人は二階になる。
古毛布が一枚づつ配られて、これを縦に折った幅が一人のスペースである。また、上に掛ける毛布は別途お金を出せば借りることができる。

 

山小屋の前庭のにぎわい 

 

小屋の中は狭いのでザックは床下の物入れにしまい、炊飯と食事は屋外でする。雨の日は屋内でするそうだが、この狭さでは大変な作業になるだろう。

 


翌朝5:52、小雨が降り出したので増水を心配して早立ちする。四ノ沢が6:43、取水口は7:41、駐車場のゲート着は9:50だった。
登山装備を整理して、ゲートを出発したのは11:00、二風谷のライダーハウスに着いたのは16:20だった。距離は53.5㎞。登りは7時間を要したが下りは5時間20分。やっぱり、下りは楽だ!! 

 
 地元の人は沢歩きも登山もスパッツと合体した地下足袋だけで済ませて、軽装備の日帰り登山をするようだ。


ライダーハウスの夜は更けて

平取のライダーハウス 北海道には食堂などが併設する“ライダーハウス”がある。食堂で食事をすれば無料で泊まれるシステムで、ライダーハウスによっては古毛布を置いるところもあるが完全素泊まりが基本型だ。ここのライダーハウスでは、トイレは国道の信号を渡ったアイヌ文化博物館横の公衆トイレに行った。

 

二風谷のライダーハウスに、この夜から2泊、お世話になる。幌尻岳に向かう途中でおにぎりを頼んだ食堂である。あの時のおにぎりの大きさから女主人の気風の良さを見込んでお世話になることにした。 

 

女主人と泊り客と私 左からライダーハウスの同宿の若者と私と女主人である。若者はアイヌの弦楽器トッコクの製作を近所のお年寄りから習いながら、木材から削り出す為に2か月も泊まっている。さすがに軍資金が乏しくなったようで、元はペンキ職人の腕を生かしてライダーハウスのペンキ塗りで食費を浮かしているそうだ。

 

名織手として有名な女主人を紹介した本 二風谷は古くからアイヌの人達の集落で、食堂の女主人は木の皮をほぐした繊維で織るアイヌ伝承のオヒョウ織の有名な技術者でもある。一年の半分ほどは全国に公演やら実演に引っ張りだこだそうだ。さすがに、その道の第一人者だけに実に有意義なお話を聴けたのは幸運だった。

 

郷土色豊かな食堂のメニュー 食堂のメニュー 食堂の壁に貼られたメニューだが、初めて目にするものも多いかった。

 

おまかせ朝食:盛りだくさん:美味しかった これは翌朝の「おまかせ」の朝食だが、土地の山菜にアイヌ風の味付けで美味しかった。

 



夜には近所のアイヌの人達が食堂に集まって、楽しい宴会になった。酔うほどにアイヌの楽器ムックリの演奏が始まり、薄く削った竹ベラの振動を口に共鳴させたミューミューと寂しげな音が旅心に沁み入って、アイヌの人達との楽しい語らいで夜は更けた。

 

おわり

 



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○尾さん、今年もがんばってください、
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自転車で100名山

Author:自転車で100名山
10年計画で自転車だけで100名山を完登した記録。登山旅は旅程そのものがドラマだ! 定年からの100名山は自転車の旅で楽しもう! 
トムラウシへの道には車輪よりも大きなフキが群れている。

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